近年の物価上昇や人手不足、コロナ融資の返済開始などから倒産件数が28か月連続で前年同月を上回っており、年間1万件の企業倒産も見えていることから、本お役立ち情報で解説いたしました。日銀の利上げにより各銀行が短期プライムレートを引き上げていることから、今後の中小企業の銀行融資も厳しくなることが想定されることから、取引先の倒産に備えた債権管理を徹底したいものです。
年間1万件の倒産件数も視野
2024年7月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が953件(前年同月比25.7%増)、負債総額は7,812億600万円(同381.8%増)だった。
件数は、2022年4月から28カ月連続で前年同月を上回った。7月としては3年連続で前年を上回り、2013年(1,025件)に次ぐ高水準となった。
負債総額は、前年同月の約5倍(4.8倍)の大幅増で、今年最大となった。7月では2012年(7,241億円)以来、12年ぶりに7,000億円台に乗せた。航空機開発製造のMSJ資産管理(株)(旧:三菱航空機(株))が負債6,413億円を抱えて7月4日、東京地裁に特別清算を申請し、負債を押し上げた。同社で負債総額の8割以上(構成比82.0%)を占めた。負債5億円以上10億円未満は31件(前年同月比55.0%増)、同1億円以上5億円未満は206件(同34.6%増)と中堅規模も増えたが、同1億円未満が696件(構成比73.0%)と、引き続き小・零細企業を中心とした推移が続く。
産業別では、8産業で前年同月を上回った。建設業が194件(前年同月比31.0%増)で19カ月連続、卸売業が102件(同32.4%増)で10カ月連続と、それぞれ前年同月を上回った。
物価高や人件費高騰(人手不足)などのコスト増、借入返済や納税などの資金繰り負担に加え、今後は金利上昇も収益を下押しする。このため、過剰債務や稼ぐ力が見劣りする中小企業を中心に、秋口以降の企業倒産は増勢局面に入ることが懸念される。1
7月の毎月勤労統計調査にて実質賃金が2か月連続プラスとなっておりますが、依然として賞与などの「特別に支払われた給与」の伸び率が大きいことからも2、7月の季節調整済み前月比では実質消費支出は1.7%減少と弱い状況になっており3、企業の売上についても楽観視できる状況にはないと思われます。
また、2024年11月以降に下請け法の運用ルールの変更により支払サイトが60日を超える約束手形や電子記録債権の交付、一括決済方式による支払は行政指導の対象となる4ことから、資金繰りが改善する企業もあれば、反対に資金繰りが悪化する企業もあるため、企業全体としては少ないと思われますがこの点も踏まえて資金調達を行っていく必要があります。
売上が右肩上がりで伸び続けるわけではない状況下においては、適切な財務管理及び経営改善が必須であり、9割の中小企業が事業計画書や資金繰り表を作成していないことを踏まえると根本的な経営改善も困難でしょう。税務会計中心の顧問税理士から適切な経営アドバイスが受けられていない、適切な資金調達や借り入れ状況を構築できていない、経営をどのようにしたらよいかお悩みの経営者の方につきましては、ますは弊社までお問い合わせください。
- 東京商工リサーチより引用 https://www.tsr-net.co.jp/news/status/detail/1198838_1610.html ↩︎
- 毎月勤労統計調査 令和6年7月分結果速報 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2407p/dl/houdou2407p.pdf ↩︎
- 家計調査報告 令和6年7月分
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.htm ↩︎ - 経済産業省 https://www.meti.go.jp/press/2024/04/20240430002/20240430002.html