今回は、番外編としてメガバンクとの融資取引について解説いたします。メガバンクとの取引では、最低でも年商10億円以上の規模が無いとほとんど保証協会付きの取引の提案となり、メガバンクの担当者としても融資ロットが稼げず、会社において地方銀行等でも融資が可能な保証協会付きでの取引にはほとんどメリットがありません。上記以外の観点からも、ほとんどの中小企業においてメガバンクとの取引は積極的に行うべきでない理由を解説していきます。
も く じ
Toggle金融機関の担当者の評価基準
ここでの担当者の評価基準は企業に対する審査評価ではなく、融資担当者の人事評価の基準になります。ほとんどの金融機関の評価基準においては、取引先にいくら融資したかの指標としての貸出平均残高を重視します。
一方で、メガバンクにおいては貸出平均残高も重視しますが、他の金融機関と異なり収益性が非常に重視されます。そのため、それなりのロットと収益が得られないとメガバンクの担当者としても積極的な姿勢とはならないため、自社の企業規模が小さい状況だとそこまで担当者も親身になることはないでしょう。
金融機関の審査基準
廃止された金融機関検査マニュアルのように、一律の融資審査における基準はありますが、それぞれの金融機関が厳しく評価基準を設定することは何ら問題ありません。一般的に規模の大きい金融機関ほど審査基準は細かく段階分けされ、かつ厳しくなる傾向にあります。
そのため、業況が明るい状況が持続的に続けば問題ないですが、一時的な業況不振により他の地方銀行が融資スタンスを変えないような状況でも、自己査定の基準などが厳しいメガバンクにおいては自社の貸出先の評価基準が下がることにより貸倒引当金を積む(=費用が増加し、収益性が悪化する)ことになると、担当者の収益ノルマに影響することになります。
そのような状況では与信の縮小や回収方向に舵を切る、最悪のケースでは貸しはがし等にも遭遇する可能性もあります。地元を重視する地方銀行の方が、取引金融機関として資金繰りの面では安心できると思います。
当座貸越の取引
運転資金見合いとなる正常運転資金ついては、短期継続融資として当座貸越を利用しているケースが多いと思われます。運転資金見合いの短期継続融資の活用方法については、以下でも解説しておりますので、まだ拝見されていない方は一度お読みください。
当座貸越根保証もあります)。当座貸越において対応する短期継続融資の金額は、正常運転資金の規模と対応します。そのため、売上が急減すると必要な正常運転資金の規模も縮小し、それまでの当座貸越の設定金額から規模に応じた当座貸越の枠の更新となり、もしくは5年返済の長期借入金への切り替えなどが地方銀行等では一般的な対応です。
但し、メガバンクにおいては、状況によっては全額回収を図るケースもあるという話をよく耳にします。担当者と交渉の上、一括返済を何とか回避できたとしても、1年以内の返済を求められることがあり、回収スタンスに入ると中小企業にとって資金繰りにおいて非常に深刻な問題となる可能性があります。
そのため、万一の事態を考慮し、取引する金融機関を慎重に見極める必要があります。調達金利が低いメガバンクは低金利を提示できる場合がありますが、収益重視の金融機関と取引する場合には、収益性の低い顧客と判断された時点で資金繰りが厳しくなる時期が必ず来ることを認識しておくべきです。
資金調達の選択肢が限られている中小企業においては、資金ショートを避けるための資金調達を行うことが重要です。企業規模に合った金融機関との取引、また成長過程に応じた金融機関を選ぶことが不可欠です。
最後に、政府系金融機関で2,000社以上の中小企業に対する融資支援および事業再生の現場に立ち会ってきた経験から、適切な財務管理と資金調達のサポートが中小企業の成長と持続可能性に不可欠であると深く理解しています。これまでにも多くの銀行融資関連の資金調達支援実績があり、直近では3年間融資を受けられなかった企業様でも、銀行融資を成功させた実績があります。
資金調達や資金繰り、経営に関するお悩みをお持ちの経営者の方は、ぜひ弊社までお問い合わせください。