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中小企業の資金繰り改善‐他行肩代わりの活用

今回は、弊事務所が支援した資金繰り改善の事例をご紹介します。本件は、銀行融資を活用したもので、具体的には他行肩代わりによる資金繰り改善の事例です。この案件では、アフターコロナの改善基調が続いており、支援先の会社は中小企業ながら比較的財務データが整備されていました。

しかし、支援先の会社がメインバンクと認識していた金融機関は、弊事務所が過去から現状までを分析した結果や会社からのヒアリングにより、実際にはメインバンクとして十分に機能していないことが明らかになりました。各金融機関との関係性や預金取引のバランスなどを考慮した上で、銀行別の他行肩代わりを伴ったメインバンクの切り替えにより、資金繰りの改善を図ることにしました。

ただし、この手法は全ての企業に適用できるわけではありません。企業の財務状況や収支予測、メインバンクとの関係性など、さまざまな状況を慎重に考慮する必要があります。そのため、安易に他行肩代わりを行うことは避けるべきと考えています。

他行肩代わりによる資金繰り改善効果

支援させていただいた会社の業種および業歴については、非公開とさせていただいております。前提条件として、年商規模は約7億円、経常利益は10,000千円、簡易キャッシュフローは16,000千円となっています。また、上記の数値データおよび下表の金融機関との取引状況については、支援先企業の匿名性を確保するため、一部の数値を加工した事例形式でご紹介している点についてご了承ください。

実行前後による資金繰り改善効果

下表の上段は他行肩代わり前の金融取引状況を、下段は他行肩代わり後の金融取引状況を示しています。本件の改善効果としては、毎月の元金返済が1,150千円圧縮され、借入金利は0.5%低下しました。この結果、支払利息は725千円削減されました。また、支援時点では、保証協会の無担保融資枠として55,000千円を確保することができました。

従来の年間借入金返済額は30,600千円(2,550千円×12)でしたが、改善後は16,800千円(1,400千円×12)となり、簡易キャッシュフローでも年間収支がトントンのレベルまで改善されました。運転資金の一部を短期資金に切り替えたことが、資金繰り改善に大きな効果をもたらしました。

また、運転資金見合いの短期資金については、以下で解説しておりますので詳しく知りたい方は以下を参照ください。
中小企業の財務改善!適切な銀行借入の方法

他行肩代わりによる資金繰り改善効果。実行前と実行後の比較。

実行前後による金融機関別の取引状況

以下は、金融機関別にまとめた金融取引状況になります。

金融機関別に見た、他行肩代わりによる資金繰り改善効果。

一旦、弊事務所の支援は終了しておりますが、会社側でB銀行からのプロパー融資の交渉を進めていると伺っております(B金融機関については、会社とB金融機関の過去の取引経緯等を踏まえ、一部のみの肩代わりとしました)。
B金融機関からのプロパー融資が実施されれば、信用保証協会の無担保枠80,000千円を確保することにもつながります。今後も継続的に業績改善が続き、簡易キャッシュフローが借入金返済額を上回る見通しです。そうなると、資金繰りに余裕ができることで積極的な事業展開が可能となり、調達金利も1%を切るのもそう遠くないと考えています。

政府系金融機関で2,000社以上の中小企業を融資支援し、事業再生の現場に立ち会ってきた経験から、適切な財務管理と資金調達のサポートが中小企業の成長と事業の持続可能性に不可欠であると深く理解しています。
上記の他にも多数の銀行融資に係る資金調達の支援実績があり、直近では3年ほど融資が受けられなかった企業様においても銀行融資の調達実績がございます。
資金調達から経営まで、どのようにしたらよいかお悩みの経営者の方は、ぜひ弊社までお問い合わせください。