先日、2024年度中小企業白書・小規模事業白書のポイントを解説しました。価格交渉が可能な取引環境が醸成されつつあり、価格転嫁の交渉の際にの取組において、理想的な提示価格(提示価格)と譲歩できる価格(留保価格)の設定など、価格交渉に際に向けた事前準備が価格交渉力につながっていると説明いたしました。取引先によっては、値上げ内容について納得できる十分な説明を必要としているケースがあると考えられます。
企業が取り扱う商品は、単一の商品のみではなく複数の商品を扱っており、適正な原価管理は経営改善における第一歩になると考えられますが、ほとんどの中小企業はどんぶり勘定で適切な原価管理ができていない印象を持っております。決算書や試算表の情報から結び付ける前に、分析するために必要な基礎データが無いという企業が大半ではないでしょうか。
現在、とある企業様でスポットにて財務コンサルティングのご支援をさせていただいております。当該企業様において原価に関する分析を行うための必要なデータがあるものの、分析に必要な情報が紙ベースとなっているため、まずは必要な情報を集めていただいている段階となっております。
上記の企業様のように、まだ紙ベースでデータがあれば分析を行うためのデータがあればよいですが(これでも一旦データ化しないと何も始まらない面はあります…)、他のデータから推計したとしても信頼に当たるようなデータが生成できない、若しくは必要なデータそのものが全くない場合は、データ収集から始めることになります。事業再生の現場にも立ち会った経験がありますが、事業の実態を把握するために必要なデータが不足していることが業績不振の企業には共通しており、事業再生の現場ではアドバイザーが紙ベースの台帳等からデータを収集、転記、加工を行い、分析を行うためのデータベースを一から作成することも往々にしてあります。
ほとんどがシステム化され、様々なデータがすぐに抽出分析できる大企業とは異なり、システム化が遅れている中小企業においては、自社の状況を適時適切に把握できているかどうかにおいても非常に遅れをとっていると考えられます。まず、何か対策を取るには現状を適切に把握することから始まりますし、得られたデータを適切に読み取り解釈して、次のアクションに取ることになります。
中小企業のデータ量であれば、エクセルで取り扱いが可能なことが大半なのでシステム導入までしなくても、適切なデータの収集と取り扱いさえできれば十分です。現に、上記の企業様のご支援でも、全くシステム導入が不要なデータの規模感であることから、エクセルにて分析を提供することで進めております。幸いなことに支援先の企業様側においては、作業のご負担をかけておりますが、熱心に取り組んでいただいていると思っております。
現在、数多くの企業様からご相談をいただいております。事前のヒアリング等で企業実態の解明のためのデータが無いケースにおいては、費用を踏まえて企業様に対してのデータ収集の負担と、改善までの時間がかかることを説明しておりますが、その時点で検討を諦められる方もいらっしゃいます。経営改善そのものは非常に地道な日々の努力によるものであり、飛び道具はありません。一つ一つの取り組みの積み重ねこそが、経営改善の一歩となります。厳しい言葉にはなりますが、基本的な自社の状況を把握するためのデータが無い時点で、経営改善のスタートにすら立っていないことをご認識いただいたほうが良いかと思います。
本内容をお読みいただきありがとうございます。どのように経営改善をしたらよいかわからない、やる意欲はあるが顧問税理士からは支援が得られない方は、是非弊社までご相談いただけますと幸いです。
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