近年の物価上昇や人手不足、コロナ融資の返済開始などから倒産件数が全産業・全地区で増加しておりましたので、本お役立ち情報で解説いたしました。コロナ融資が6月末で終了するため、取引先の貸し倒れが無いように債権管理を行う必要があります。
も く じ
Toggle11年ぶりの倒産件数
「2024年5月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が1,009件(前年同月比42.9%増)、負債総額は1,367億6,900万円(同50.9%減)だった。件数は、2013年7月(1,025件)以来、10年10カ月ぶりに1,000件を超えた。2022年4月から26カ月連続で前年同月を上回り、増加率42.9%増は2023年8月(54.4%増)に次ぐ高水準となった。「2024年1-5月累計は4,111件(前年同期比25.6%増)で、2013年(1万855件)以来、11年ぶりに年間1万件を超える状況で推移している。
コロナ関連支援が終了するタイミングで、円安、物価高、人手不足が経営にのしかかっている。このため、業績回復が遅れる企業に加え、仕事を確保しても資金調達が難しい「黒字倒産」などを交え、企業倒産は増勢をたどる可能性が高い。」1
これまでバブル崩壊後からの低迷するデフレ経済下では物価が上昇することが無く、極めて安定的な経営が可能でした。昨今のコストプッシュインフレによる急激な物価上昇、人手不足による賃金増加圧力などにより、収益状況は厳しい状態に置かれていると考えられます。本来物価は上昇するものですが、全く上昇しない30年近くを過ごしたことにより、価格転嫁への抵抗感、中小企業特有のどんぶり勘定などが今後も企業倒産の一因になるのではないかと考えられます。
すべての地区で前年同月を上回る
「2024年5月の地区別件数は、2023年8月以来、9カ月ぶりに9地区すべてで前年同月を上回った。
関東355件(前年同月比28.1%増)が、25カ月連続で前年同月を上回った。このほか、近畿256件(同47.1%増)が18カ月連続、中国52件(同48.5%増)が13カ月連続、東北64件(同100.0%増)と九州91件(同59.6%増)が7カ月連続、北海道30件(同50.0%増)と中部124件(同42.5%増)が2カ月連続、北陸18件(同80.0%増)と四国19件(同35.7%増)が2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。」2
倒産件数の増加は特定の地域で起きているものではなく、全国共通で起きている現象であると言えそうです。特にこういった転換期において、戦略や根拠のない起死回生を狙った攻めの設備投資を行う企業が出てきます。このような企業は倒産するよくあるケースに当てはまってますので、業界慣習から変え離れた設備投資等を行っている取引先の情報をキャッチした際は、貸し倒れの防止も含めて債権管理の強化や、取引先の見直しなどが必要になってきます。自社の経営改善はもちろんのことですが、取引先の状況にも目を見張る必要があります(債権管理を行っていない中小企業がほとんどですが…)。
実質賃金が25か月連続マイナスとなっている現在、インバウンドなどの局所的なビジネスでない限りは、大幅な増収は見込めるものではありません。仮に急激な増収があったとしても、急成長は倒産の引き金となります。自社の経営状況と外部環境の適切な把握を行い、その見通しのもとに策定した事業計画のもとに事業運営を的確に進める必要があります。
転換期における経営改善においては、きちんとしたノウハウを持つ専門家に依頼することが必要不可欠となります。世の大半の中小企業が決算書を適切に読めていない現状では経営改善は場当たり的なものになります。顧問税理士から適切な経営アドバイスが受けられていない、経営をどのようにしたらよいかお悩みの経営者の方につきましては、弊社までお問い合わせください。